スカスカな珈琲 (ちょっと専門的な焙煎のことも)

東京で焙煎をしていたときから、大好きなワイニーのひとつドミニカプリンセサワイニーなども焙煎していて、それを何人かの方に飲んでいただいてました。ワイニーを初めて飲まれる方は、その風味にとても衝撃を受けてられるようでした。大好きな豆が自分の思うような風味を出してくれて、その素晴らしさを誰かに伝えられる事はとても達成感のあるものでした。
しかし、焙煎機を購入してから、その味が全く再現出来なくなったのです。データーも残していて、同じように焙煎しているつもりが、全く違う。薫りも違う。風味も。味も。何の豆だかわからないくらいになってしまったのです。投入温度も変えてみたり、甘味が出る温度を意識したり、沢山考え、色々試しました。でも豆はすかすかな平坦な味なのです。 そんな中、東京で使用していた時と違いを思い浮かべると、排気ダンパーと言われる所で、排気のコントロールをするのだけど、その調整のしにくさを感じていました。私の焙煎機は、前ダクトの横にダンパーと言われる排気をコントロールするところがあり、前ダクトとその横にあるダンパーの中間にあるホッパーをあけて、熱が上がってくるか来ないかの所を(ニュートラルと言われます)確認し、排気をコントロールするのです。それがどうもわかりにくい。熱せられたドラム内を加圧された分だけ、自然に排気出来ないと、ドラム内にこもった水分が逃げない状態で焙煎をすすめることになりそれが渋くてえぐいコーヒーになる原因にもなるし、熱がこもるだけこもって、豆が煙を出す段階で排気が不十分だとスモーク味の苦いコーヒーにしかならないし、逆に排気をし過ぎてしまうと大事な珈琲の成分や旨みが揮発されてしまう。(もちろん常にニュートラルではないですが、そこは割愛します) 私はまず、ニュートラルのつもりがニュートラルではなく排気し過ぎて、大事な成分が揮発されているのではないかと考えました。自分ではニュートラルのつもりが実は違うのではないかと。それで古いタイプのフジローヤルで行うダンパー操作方法を行いました。ネットなどでも載ってます。テストスプーンを抜き、そこに火を当てて炎の引き込まれ具合をみる。ニュートラルでは炎がすこしだけ吸い込まれるようになるはずです。しかし、ダンパー全閉の時しか炎の違いがわからない。ティッシュペーパーをそこにかざしてみて確認。それもよくわからない。焙煎機の会社にも電話してみて、排気ファンからの風量の違いも確認してみました。たぶん問題は無さそう。さてどうするか、、私は少しホッパーから上がってくる熱があるかないかよりも気持ちあるな?くらいにすることにしてみました。それで、豆のスカスカがだいぶ変わりました。たぶん原因のひとつはこれ。そして、もう1つわかってきたことは、香ばしい系と同じ焙煎ではフルーティ系の良さが出にくくなることもあると感じてきました。旨くいかなかったら別の方法を考える、やってみる。温度上昇カーブの持って行き方も、思いきって変えてみたり。躊躇して出来なかった事を変えてみたり。投入から中点(豆を釜に投入し、豆の温度が下がりきって、上昇に転ずる所)の時間調整が私の焙煎機では、小さい割にがっちりしていて蓄熱製があるのか難しいかもしれない。それならば別の方法で甘味がでる温度を意識して変えてみたり。
豆がスカスカにならない色々な事が最近身に付いてきました。

私が焙煎や珈琲の考え方を教えてもらってきた方は沢山の失敗を繰り返し、どの豆とも話が出来るようにね、とお話してくれました。失敗はきっと成功のもと。大切な事でした。

いつも豆と話をしながら、焙煎しています。
まだまだ豆と向き合う時は緊張しています。きっと豆もわかるのでしょう。
豆に愛してもらえるようにならないと、お客様にも失礼。
だからずっと豆との対話は一生涯続きます

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